@phdthesis{oai:kagawa-u.repo.nii.ac.jp:00000179, author = {石橋, 基範 and Ishibashi, Motonori}, month = {2020-10-21}, note = {自動車の事故低減および運転負担軽減のために運転支援システムの研究が進められており,そこでは人間・機械系のミスマッチが懸念されている.これを解決し自動車運転者(ドライバ)により優しいシステムを構築するアプローチとして,運転環境や支援システムに対するドライバの反応を正しく理解した上での自動車開発の取り組みが重要となる., ドライバの反応(生理,心理,行動)は交通状況や道路環境,システム仕様等の外的要因(刺激)で決まるとされるが,同じ外的刺激でもドライバの反応は多様で,大きな個人差が反応を正しく理解する妨げとなる.それは,ドライバ反応は外的刺激以外にもドライバ固有の特徴や個性である個人特性(内的要因)に大きく影響されるからである.そこで,諸要因を整理してドライバの反応を理解するためには,ドライバの多様な反応という出力と,ドライバへの刺激(環境・システム)という入力と,それらをつなぐ人間特性(ドライバ個人特性)をそれぞれ把握して関係づける必要がある.すなわち,従来は「刺激-反応」で捉えられてきた関係を「刺激-人間-反応」の枠組みで捉え,ドライバ特性を類型化した上で刺激と反応との関係を探ることが反応理解に向けた解決策となりうる.そして,ドライバ個人特性は先天的な側面(性別,感覚・知覚,性格・気質等の人間が元々備えている面)と後天的な側面認知,運転習慣,運転態度・意識等の生活や運転で獲得した面)に分けられる., そこで本論文では,まず居眠りや精神疲労に伴う生体活性の低下による危険防止を想定して,刺激(運転模擬環境)と反応(生体指標)に関するドライバ計測の基礎技術を構築し,先天的な特性の面から「刺激-人間-反応」の枠組みの適用を行った.次に,運転支援による負担軽減を想定して,行動や負担との関係が考えられる後天的な個人特性の指標化と運転行動解析への応用を行い,ドライバ反応理解に向けた指標構築のアプローチを整理した.具体的には以下の内容から構成される., 1. 単調運転模擬作業と高速道路走行のタスク負荷量の検討 自動車単調運転の要素を実験室で再現するため,トラッキングと視覚選択反応を組み合わせた運転模擬作業を開発し,その作業課題が眠気や緊張感,感といった面で高速道路単調運転と同様の特徴を備えていることを検証した., 2. 覚醒低下に伴う反応時間と脳波の変動の指標化 眠気を積極的に生じさせる実験で反応時間と反応直前の脳波特徴量との関係を検討し,反応時間遅延時に,頭頂部脳波のα波帯域周波数の低下が中枢系の活性レベル低下を反映した指標であることを示した., 3. 向性と精神的負荷が精神疲労に及ぼす影響モデルの構築 生体活性の変化の個人差に影響する個人特性として脳波の刺激応答のタイプに着目し,内向性・外向性の性格と対応することを示した.これを踏まえて,運転後の精神疲労の大きさは精神的負荷(刺激)と向性(刺激応答タイプと対応)が相互に影響して決まるとモデル化し,運転模擬作業を用いてモデルの妥当性を検証した., 4. 運転スタイルの指標化と追従運転行動解析への適用 運転に対する態度や考え方である「運転スタイル」の構成尺度を質問紙調査から明らかにし,簡便な手法で指標化した.次に,低速での追従運転行動の解析に適用し,行動との相関解析により妥当性を検証するとともに,従来の個人属性指標との比較やモデル化により運転行動の個人差を理解する上での有用性を示した., 5. ドライバの運転負担感受性の指標化と経路選択嗜好分析への応用 各種運転負担の感じ方である「運転負担感受性」の構成尺度を質問紙調査から明らかにし,簡便な手法で指標化した.次に,経路選択嗜好の解析に適用し,従来の個人属性指標との比較で優位性を確認するとともに,嗜好の違いを本尺度で説明できる可能性が分かり,運転行動の個人差を理解する上での有用性を示した., 6. ドライバ特性としての車載装置に対する知識の評価方法 ドライバの個人特性評価の手法構築において,まず手法の妥当性検討や改良のためのアプローチを示した.次に,ドライバ特性の具体例として「車載装置の機能に対する知識の量」を取り上げてそのアプローチを適用し,「機能の知名度の高さ」による知識レベル評価法を考案して運転スタイル,運転負担感受性という個人特性との関係を示した., 以上の研究により,ドライバの個人特性評価に基づく反応理解の手法を体系化し,運転支援やシステムの研究へ応用していく有用性を示した.本研究の成果により,システム設計面では,ドライバへの適合化を図る上でドライバ特性を数値表現することによりシステムのモデルに組み込みやすくなる効果が見込まれる.また,実験評価面では,評価結果に影響を及ぼすドライバ特性をあらかじめ統制したり,評価結果がばらついた理由を事後に解釈したりできる効果が見込まれる.}, school = {香川大学, Kagawa University}, title = {自動車運転者の個人特性評価に基づく反応理解手法に関する研究}, year = {}, yomi = {イシバシ, モトノリ} }